追い上げもコロガシも、期待値は1円も動かない
まず、動かないものを確認する
先に算数の話をします。回収率が80%の買い方があるとして、 1点に1,000円賭けようが、10点に100円ずつ分けようが、 外れた次に倍賭けようが、長期の回収率は80%のままです。
賭け金の配り方は、結果の散らばり方を変えるだけで、 平均は動かしません。これは競艇に限らず、どの賭けでも同じです。 だからわたしたちは、資金の配分を「勝つための工夫」として扱っていません。
ではなぜ測ったのか。散らばり方が変わるということは、破産の確率が変わるからです。 平均が同じでも、途中で資金が尽きれば取り返す機会そのものが無くなります。
追い上げ(マーチンゲール)
外れたら次のレースで賭け金を倍にする方法です。 1回当たれば、それまでの負けを取り返して利益が出る——という理屈です。
当サイトの実際の予想(3点買い・的中率17.8%)で、 資金10万円から始めて484レース回す試行を2,000回行いました。
| 賭け方 | 破産率 | 最終資金の中央値 |
|---|---|---|
| 2倍ずつ追い上げ | 100.0% | 0円 |
| 1.5倍ずつ追い上げ | 99.0% | 0円 |
| 定額 | 0.0% | 93,370円 |
2倍ずつなら2,000回すべてが破産しました。理由は連敗の長さです。
実データ上の連敗:最大30連敗。10連敗する確率は14.1%、20連敗も2.0%あります。
484レース回せば、20連敗はほぼ確実に起きます。
2倍ずつだと、初期資金10万円は8連敗で尽きます。
そもそも前提が違う
追い上げが機能するのは、ルーレットの赤黒のように 配当が2倍・的中率が5割前後の賭けです。1回当たれば直前の1回分を取り返せる形だからです。
3連単はまったく違います。当サイトの3点買いは配当の中央値が1,355円—— 13.5倍です。つまり定額のままでも、1回当たれば過去12回分の負けを取り返せます。
取り返す力は最初からあるのに、追い上げはそこに 「稀に来る当たりの前に資金が尽きる」というリスクだけを足しています。
コロガシ(パーレー)
当たったら、その払戻金を丸ごと次のレースに賭ける方法です。 2段、3段と続けば資金が一気に増えます。
ただし期待値の計算は単純です。回収率が77.4%の買い方を2回続ければ 0.774 × 0.774 = 59.9%、3回で46.4%。控除率を回数ぶん払うことになります。 36,376レースで実測しても、そのとおりでした。
| 段数 | 期待回収率 |
|---|---|
| 1段(普通に買う) | 77.4% |
| 2段 | 61.4% |
| 3段 | 48.5% |
3段コロガシの中身:元本割れが86.8%。
そして払戻金の総額のうち22.4%が、上位1%の連鎖から出ています。
つまりコロガシは、9割近くを負けにして、その分を1%の大勝ちに集める仕組みです。
賞金を再配分しているだけで、増やしてはいません。
「勝っている人がやっている」ように見える理由
コロガシで大きく増やした話は実際に見かけます。それは嘘ではありません。 上位1%に入った人は本当に増えています。
見えないのは、同じやり方で元本を失った86.8%のほうです。 成功した人だけが報告し、失敗した人は黙る。 この偏りは生存者バイアスと呼ばれ、 賭け方が「効いているように見える」現象の大半を説明します。
では資金配分は無意味か
いいえ。ただし順番があります。
資金配分が意味を持つのは、優位があると分かっている買い方に対してです。 そのときに使うのはケリー基準——優位が大きいときに資金を比例させて増やす方法で、 追い上げとは逆の考え方です(追い上げは負けたときに増やす)。
逆に言えば、優位のない買い方に資金配分を工夫しても意味がありません。 ケリー基準は優位が無いときには「賭けるな」と答えます。 式が正直にそう言うので、そこは素直に受け取るべきところです。
結論
- 賭け方では期待値は動きません。動くのは散らばり方だけです
- 追い上げは破産率を上げるだけ。3連単は配当が大きいので、定額でも取り返す力があります
- コロガシは控除率を段数ぶん払います。9割近くを負けにして1%に集める形です
- 資金配分を考えるのは、買い方そのものに優位があると分かってからです
この検証について
追い上げは、当サイトの実際の的中率・配当分布を使った2,000回のシミュレーションです。 コロガシは36,376レースの実データで、実際の払戻金を使って連鎖を計算しました。 どちらも「こうなるはず」ではなく「こうなった」を書いています。
なお本稿の数字は、当サイトの買い方(3連単3点)での実測です。 的中率や配当が違えば、破産率の数字も変わります。 ただし「賭け方では期待値が動かない」という結論は、どんな買い方でも変わりません。